2003年5月4日

ミツバチが教えてくれたこと

去年、おがくずが積んであったトラックの荷台にニホンミツバチが巣をつくったんよ。そのままじゃぁ、やれんけぇゆうて、巣箱をつくって、引越しさせたんや。しばらくはせっせと蜂が出入りしよったけど、そのうち全滅してしもうた。かわいそうに全滅してしもうたのぅと思うとったら、また、あたらしい蜂がきての。

情報を調べてみたら、蜜道のにおいがしとるとやっぱり入りやすいんだって。ほいで、秋の寒うなってからきやがったんで、こりゃぁ、その、冬が越せるか越せんか、問題じゃのうと思うて、ほいで、蜜をいっしょうけんめいやったよの。それが今は言語道断におおきゅうなって、わんわんやりよる。それみて、頭が働いたんよ。

あー、人間と同じやな。集団、特に日本人は一人じゃなくて、何人か集まらにゃできんけぇの。
集団があんまり小そうちゃあ、エネルギー発揮せんのや。自己増殖していかないんだ。あんまり小さくなってくと、どんどん小さくなっていく。

ほいじゃけぇ、どんなにつろうても、ほんとに大事な人材は、ある程度の数、もう、利益が出んでも、赤字が出んこう、つぶれさえせん限り、かかえていかなあかんのやなと、それをトヨタのやろう、知っているな、と、わしゃ思うたね、それ見て。

あんまりちがわんのんよ。おんなじ蜂が、おんなじ箱ん中はいって、ほいで一生懸命次々孵るんよ。卵産んでの、新しゅうどんどん出てくる。出てくるんだが、倒れていくほうが多い。

ほいじゃけ、経営する場合、一番大切な、今、日本みたいな会社は、資本で人材が一番大事なんね。人材のスケールをある程度まで落としてしもうたら、もうだめなんやな。

もうひとつは、信弥さん(注:弟)がいいよったように、分散してしもうたら、エネルギー発揮せん、たぁ、そのことなんやな。ある程度優秀な人間、一箇所に集めて、1つの集団つくるとそれが増殖し始める。

あー、蜂のやろう、こがぁなことを教えてんだ、と、こないだ、わしゃ思うた。すげえなぁ。

……

ほんで、こないだから、蜂をじーっと、わしもあそこを通ったら見よる。ほんで、出てきたら、ぴゃーっとある方向にいくんよ。

たしかに、こんなやつらは、この方向にあるよっちゅうのは、教えられるに違いない。
あとは、それでも、こんなやつらは、教えられたらその方向へいって、花を探して、蜜ひろうて、戻る。
これは全部教えちゃぁおらんぞと。教えよらんぞと。
それから、すりこみでもおそらくないぞと。

ちゅうのはの、この冬でも、ニ十何頭、三十頭ちこう、お産があって、今朝も2つお産があって、ひとつは乳をつけたんだけども、見る間に学習してくんよ。どこにお乳があって、で、体をどういう風に固定をして乳を吸やぁええかっちゅうのを、はじめあたったら、すぐ学習してくんよ。

ところが、中に学習できんやろうがおるんよ。
なんぼぅやっても、やっても、わしゃぁこうですよ、ゆうての。

ほんだけぇ、今から生き残る企業やっても何やっても、生き残るものは、人を育てるっちゅうけども、
もともと、ないものは育てられねぇや。

ほんだけぇ、まず、一番基本は、そがぁに飛びぬけとらんでもええけぇ、いわゆる、自分で学習していく能力を持っとるやつを探して、まず集める。
ほいで、優秀な奴つけて、そいつをひとつの集団になるように育てていく。

それしかにゃぁ、手がないんや。はっきりいやぁの。

2003/4/29 見浦哲弥談

<オリジナル音声はこちら その1 その2>

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